現実に働きかけるのか、働きかけないのか?

とにかく現在のテーマと向き合って書き続けている春樹氏は
ポジティブに評価できるが
小説を単行本で出版しなくなってしまった龍氏にはネガティブな評価をせざるを得ない……
というのは、わたしは違うと思っています。
むしろ、小説の出版が途絶えている龍氏はそのままの形で、小説を出版し続けている春樹氏と釣り合っているのではないか?
ただ、ここで
「龍氏はそもそも体調をくずされて長く、小説に取り組める状態にはまだ戻られていないのではないか」
ということが問題になるだろうと思います。
しかし、意固地になっているみたいですけれど、わたしはそれでもお二人は
シンボリックな意味でやっぱり釣り合っていると考えます。
あとでまた少々細かく論じてみたいと思ってはいますが
ここでは取りあえず、いまアタマの中でなんとかまとめられる要点だけをかきとめておきます。
龍氏の沈黙は、たとえご病気でやむ無くされたものであれ、春樹氏の執筆継続と同じ重さで向かい合っている。
なぜというに、龍氏の姿勢はもともと
「仮に微震しか与えずとも現実に働きかける」
というものであるのに対して
春樹氏は、ある時点からそうした態度に自覚的に別れを告げ
「なんらかの形で現実は必ず反映させるが、現実に働きかける意図はない」
という姿勢で書き続けているからです。
わたしにはそう思えます。